相場の科学的分析

ロケット工学投資法

 ジョン・F・エーラース

 パンローリング
   ISBN:493910351X
著者のエーラース氏は信号処理の専門家である。 この本は、氏の専門分野を生かし、 信号処理をどのようにしてシステム売買に応用するかについて書かれている。 方向性は間違ってはいないと思うし、氏のシステムは実際にも実績を上げているのだが、 これでどんな市場にも適用できる万能のシステムが作成できると思うのは間違っているように思う。 前処理や後処理としての平滑化やパラメータの選択などでかなりフィッティングされている印象を受ける。 ヒルベルト変換がどう実装されているのか興味があったのだが、 積分範囲とか、こんないい加減で良いのか?と思う。 特性がフラットじゃないので、想定する周期によって補正しなければならないとか書いてある。 そんなんでいいのかなぁ。 しかし後の方に出てくるエーラースフィルタは実際にシミュレーションしてみるとかなり有効である。 この本を理解するためには交流回路の複素数表現について理解している必要がある。
ウォール街のランダムウォーク

 バートン・マルキール

 日本経済新聞社
   ISBN:4532142237
はっきりした結論を出している訳ではないが、 テクニカル分析およびファンダメンタル分析の有効性についてかなり懐疑的な立場に立つ本である。 セミ・ストロング型の効率的市場仮説の立場に立てば、需給関係や罫線で儲けることは出来ず、 だからこそ長期投資となるわけだが…。 サンプルとして投資信託のパフォーマンスを持ってくるあたりが学者的だなぁと思ってしまうのである。
先物・オプション市場の計量分析

 岩田暁一 編

 慶応義塾大学出版会
   ISBN:4766406729
先物・オプション市場における様々な現象について検証している。 市場の流動性の測定、曜日効果、証拠金の多寡による影響、市場のカオス性の検証などいろいろ。 論文集みたいな感じ。
カオスと資本市場

 エドガー・ピータース

 白桃書房
   ISBN:4561960473
要するに結論は、市場はカオスであるという事である。 まず初めに、本書は効率的市場仮説に基づくランダムウォークモデルに対して疑問を投げかけているが、 それに対する答として、市場がカオス的であり、市場における収益率が正規分布ではなくフラクタル分布、 経済学でいうところの安定パレート分布に従うという仮説、いわゆるフラクタル市場仮説を提出している。


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