日本は何を反省すべきか
2006/7/13
敵基地攻撃能力の保有について議論が出ている。
建前論で言えば、自衛の範囲として保有するのは問題無いと思うが、
それを持つのが日本だという事自体に危惧を感じる。
昔から変わらない日本の国民性として、ムードに流され易いというのがある。
太平洋戦争で一番好戦的だったのはマスコミであり一般市民であった。
政府の不拡大方針に反して軍部が対中戦争を進める事が出来たのも世論の支持があったからだし、
対米開戦においてもマスコミは慎重論をほぼ抹殺して大衆を煽っている。
軍事力は持っていても使わない事に意味があるのだが、
日本の場合は世論が主戦論に傾けば世論に押し切られて使ってしまう可能性が高い。
北朝鮮のミサイル基地を攻撃すれば、東京に反撃のミサイルが来るのは明白で、
少しでも死傷者が出れば今度は報復しないと収まらないだろう。
争いは戦争以外の方法で解決するのが一番なのだが、大抵の場合、
そういうやり方は国民には弱腰に映り、不評である。
世論の反発を甘受してまで国益を追求できる政治家が今の日本にいるのか非常に疑問である。
政治家の老獪さという点では日本は中国に遥かに及ばないように思える。
そもそも北朝鮮がミサイルを開発できたのも、日本からパチンコ業界やサラ金業界を通じて金を垂れ流し、
関係企業を通じて日本のハイテク技術を流出させたせいである。
取り締まろうと思えばいくらでも取り締まれた筈なのに、利権に目がくらんで黙認し続け、
その結果完成してしまったミサイルに対して攻撃云々というのもマッチポンプもいいとこ。
みんな目先のことしか考えてないからこうなるのだ。
まぁ、出来てしまったからには対処は必要だが。
日本人は前回の戦争に至った経緯について全く反省していない。
反省と言っても、他国に対する反省ではなく、空虚な熱狂に犯されやすい国民性についての反省である。
戦争は、軍部の暴走が全ての元凶だったということになり、
一般大衆は善良な被害者で罪は無いという事になってしまった。
日本人は、アジアの盟主とか言う言葉に弱い。そのくせ、真のリーダーとして兼ね備えるべき、
他者への理解というものが足りない。
島国だからかもしれないが、日本的な価値観がそのまま世界で通用すると考えて、
知らず知らずに押し付けをやってしまう。
太平洋戦争中に日本がやったのもまさしく日本精神の押し付けで、
文化的程度の低かった南洋諸島や台湾などは上手く治まったかもしれないが、
中国を治める事は出来なかった。
満州国の建国神廟に天照大神を祀ったり、韓国の国民学校で東方遥拝させたりなんて事を平気でやる。
そういう行為がどれだけ相手の尊厳を傷つけるかというのを全く理解していないのだ。
中には大して気にもせずに日本の価値観を受け入れた人も多かっただろうけど、
知識階級と呼ばれる人たちは必ずと言って良いほど反発する。
統治が上手く行っている間は良いが、不満が出てくれば、
彼らによって日本が悪者になるように世論が誘導される。
結局、価値観の押し付けでは永続的な統治は不可能であり、侵略でしかないという事だ。
先に述べた、ムードに流されやすい国民性に加えて、
そのような島国根性というか、独善的な国民性についても何の反省もされていない。
このままでは形はどうあれ、いずれ同じ事を繰り返すのではと思う。
その場合、最初にターゲットになるのはやはり朝鮮半島であり、
それを考えると韓国が過剰反応するのも理解できる。
いくら過去の占領について謝罪しても、日本人が自らの国民性について反省しない限りは、
彼らにとって安心はできないだろう。
日本人は、いつまで謝り続ければ良いのかと思い、韓国人や中国人は、日本の言動に過剰反応し続ける。
ズレてるんだよねぇ、お互いに。
日本の統治がいかに韓国の経済発展に貢献したか、なんて論調も最近多い。
これもズレている。
追記:
ここに書いた文章がさっそく2chで話題になっている。
在日がどうのこうのという話になっている所で、北朝鮮のミサイル発射があり、
わざと釣り針に食い付いてくるように題名に反省という言葉を入れたら、案の定。
まぁ、ここまで読解力が無いとコメントするのもアホらしくなってくるが、一応、コメントを。
まず、北朝鮮のミサイル開発が正しいなんて一言も言って無い。
厳密に資金と技術の流出を阻止していれば今のような事態は起きなかったものを、
日本が自国民を拉致されても黙殺するような甘い態度を取り続けたのが原因の一つだと書いただけ。
今になって大騒ぎするくらいなら、
なぜもっと以前からミサイル開発を可能にしないような対策を取らなかったのか。
これは日本のODAが軍事開発に使われていた中国のケースも同じで、
国益よりも利権を優先する体質のせいである。
次に、適基地攻撃能力を持つべきではないとは一言も言ってない。
ただ、軍事力というのは、運用に当たっては、
長期的な国益を考える高度な視点とセンスが必要であり、
日本の首脳が現在それだけの器量を持ち得るか疑問であると書いただけ。
軍事力は使わないからこそ最大の効果を発揮する。
安易に乱発すればイスラエルのようになるだけである。
国民性に関しては、別に日本が一方的に悪いなんて一言も言ってない。
この点については韓国の人達の方が問題点が多いとは思うが、
日本人は日本人として自分達の悪い所を自覚すべきだという事を書いただけ。
例えばバブル経済を招いたのも根は同じで、
崩壊した後に銀行や証券会社など犯人探しが行われたが、
実態は、投資をしないものは馬鹿と国民全体で皆で熱病に浮かされ、
ジャパンアズナンバーワンと驕り高ぶった結果ではなかったか。
別に、日本の中だけなら同じパターンを何度も繰り返しても構わないのだが、
国際社会においてリーダー的な地位に有りたいと思うなら、
そこは直して行かねばならない所だと思う。
もし自分が韓国人なら、世界の中での韓国の地位を向上させて行くためには、
嫉妬心、被害妄想、コンプレックスの克服、歴史的なトラウマの克服、他者に対する理解、
熱くなると国民全体で突っ走る国民性、などを直して行かねばならないと書くと思う。
でも、韓国の事は韓国人自身が自覚して考えれば良い事である。
自分は日本人なので、日本が良くなって行くにはどうすれば良いかを考える。
耳障りの良い事を言う人しかいなくなれば、それはまた同じパターンの繰り返しである。
盲目的に自国を肯定するのは本当の愛国心ではないと思う。
この国の将来は本当に心配である。
人によっては海外に移住した方が良いと思うかもしれないが、
日本に生まれたからこそ今の自分があるわけで、都合が悪くなれば逃げるような事はしたくない。
日本が好きだからこそ、言うべき事は言う。
更に追記:
軍事的な緊張状態があっても実際に戦争になる事が少ないのは、どの国も国際世論を無視できないから。
戦争の前段階として国際社会での仲間作りが重要で、
むしろ軍事力よりもこの交渉能力の方が遥かに重要なくらい。
今まではアメリカと歩調を合わせてれば良かったが、独自の道を歩んだ場合、
中国を出し抜いて上手くやれるのか疑問なんだよね。
地政学的な不利は交渉力でカバーするしかないが、日本の場合、
理解してくれないなら別にいいやって投げるんじゃないかと。
そうなると悲惨な結末しか見えない。
植民地支配について。
日本が韓国に非難されてイギリスがインドに非難されないのは、もちろん連合国が勝って日本が負けたから。
それを、日本だけが非難されるのが気に食わないからって、歴史を捻じ曲げるというのは筋道が違う。
ナショナリズムも良いけど、それは冷静な自己分析と自己理解の上でこそ愛が深まるわけで、
歴史を美化して自分はなんて素晴らしいんだと盲信するんだったら今の韓国人と変わらん。
少なくとも自分の子供にはそういう視点は持たせたくはない。
強制連行にしても慰安婦にしても、現在でさえ、
合法的に自由意志という形式で労働者や女性を強制労働させるシステムがあるわけだし、
戦時中にどういう事が行われたか、少し想像力があれば想像できると思うんだけどね。
記録上は全てが自由意志で処理されているだろうけど。
今までの自虐史観にしても最近の勘違い史観にしても、極端なんだよねぇ。
歴史を、何かを主張するための道具として使うのは止めて欲しい。
歴史とはそういう使われ方をするものだと言ってしまえばそれまでだが。
でも真実は中庸にあるのだろう。
歴史そのものは本質的には中立である。
まぁ、昔から極端から極端へ、というのが好きな国民ではある。
尊皇攘夷→文明開化、とか、鬼畜米英→日米安保、とか。
変わり身が早く、方針転換しても勢いが減らないのは良い点でもあるが、
悪い点にもなり得る。
少なくとも、日本人がどういう国民性を持っているのか自ら知る事は重要である。
更に更に追記:
何だかすっかり左翼扱いされているが、アホにも困ったものである。
反省というのは自己を省みることであって、他者に向かってするものではない。
近隣諸国に対する謝罪に関しては日韓基本条約や日中平和友好条約で解決済みである。
他者に対する謝罪と自己を省みる反省は違う話なんだが、
謝罪とセットで反省、反省と言われ続けたため、
反省というと読解力の無い人はまた謝罪かと短絡的に考えてしまうのだろう。
日本の侵略行為について反省すべきと言ってるのではない。
侵略は侵略として事実を認識するのは大切であるが、それに対しての反省について述べているのではない
(当時の先進国はみなやっていた事だが、それはまた別の話)。
そうではなくて、最終的に戦争に負けるに至った原因として国民性というものがあり、
それについて自覚しなくてはならないと言っているのだ。
欧米諸国は有色人種である日本人を蔑視していたから、
どうやっても日本は戦争を強いられたという考えもあるが、
それはさすがに極端な考えであるし、そこからは何も反省は生まれない。
実際、中国人は有色人種であるが欧米諸国は中華民国に手を貸したわけだし。
当時の情勢を分析すると、国際的に協調して行く道は十分にあったのではないかと思われる。
遡って考えると、結局は中国における権益を独占しようとして、
アメリカの逆鱗に触れたあたりが分岐点であったのだろう。
具体的には、対華21ヶ条要求にアメリカが反対したあたりである。
当時、国内でも欧米諸国との対立に繋がるとして反対論も多かったようだ(しかもそれは的を得ている)。
その後、日米関係改善のチャンスはいくらでもあったのだが、
満州国の成立で日米対立は決定的になってしまった。
それも全て日本の政治家の国際感覚の無さと、世論とそれを背景に自分勝手に動いた軍部のせいである。
結局、日露戦争で賠償金と領土が取れず、唯一得た権益に世論が固執した結果であると思う。
元を辿ると、日比谷焼打事件あたりが、
世論の雰囲気に流されて国策が決定されてしまうシステムの先駆けであったとも言えるかもしれない
(国民性自体はそれ以前から底流していたのだろうけど)。
当時の朝日新聞など、小村寿太郎は売国奴扱いである。
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