罫線上の窓についての考察
2000/10/15
「窓埋め」という事が言われます。
窓を開けて上昇もしくは下落した相場は、程なくして窓を埋める値位置まで戻ってくると
されています。これについて検証してみました。
1985年10月19日から2000年9月12日までの東京ゴムについて、
終値に対してそれぞれ、0%、1%、2%、3%、以上の大きさの窓を開けた日を抽出し、
それぞれについて、その後1日、2日、5日、10日の間に窓が埋められたかを調べました。
また、始値〜終値、終値〜翌始値、のボラティリティーを測定し、
それに沿ったランダムウォークモデルによるシミュレーションも行いました。
実際の窓を埋める確率が、ランダムウォークモデルでの窓埋めの確率に比べて有意に高ければ、
窓を埋めるという主張が裏付けられる事になります。
調査日数は、実際の値動きについてが3383日。シミュレーションの方が33830日です。
以下が結果です。
終値に対し0%以上の大きさの窓 |
| 実際のデータ |
シミュレーション |
埋まるまでの日数 | 窓の個数 | 割合 | 窓の個数 | 割合 |
1日以内 |
321 | 26.9% | 3415 | 29.4% |
2日以内 |
463 | 38.8% | 4928 | 42.4% |
5日以内 |
655 | 54.9% | 6914 | 59.5% |
10日以内 |
767 | 64.3% | 8124 | 70.0% |
条件無し(全個数) |
1192 | 100.0% | 11613 | 100.0% |
終値に対し1%以上の大きさの窓 |
| 実際のデータ |
シミュレーション |
埋まるまでの日数 | 窓の個数 | 割合 | 窓の個数 | 割合 |
1日以内 |
27 | 10.7% | 383 | 13.6% |
2日以内 |
53 | 20.9% | 680 | 24.1% |
5日以内 |
94 | 37.2% | 1200 | 42.5% |
10日以内 |
137 | 54.2% | 1565 | 55.5% |
条件無し(全個数) |
253 | 100.0% | 2822 | 100.0% |
終値に対し2%以上の大きさの窓 |
| 実際のデータ |
シミュレーション |
埋まるまでの日数 | 窓の個数 | 割合 | 窓の個数 | 割合 |
1日以内 |
5 | 7.7% | 33 | 5.4% |
2日以内 |
9 | 13.8% | 96 | 15.6% |
5日以内 |
18 | 27.7% | 205 | 33.3% |
10日以内 |
34 | 52.3% | 305 | 49.6% |
条件無し(全個数) |
65 | 100.0% | 615 | 100.0% |
終値に対し3%以上の大きさの窓 |
| 実際のデータ |
シミュレーション |
埋まるまでの日数 | 窓の個数 | 割合 | 窓の個数 | 割合 |
1日以内 |
1 | 4.8% | 0 | 0.0% |
2日以内 |
4 | 19.0% | 0 | 0.0% |
5日以内 |
8 | 38.1% | 1 | 6.7% |
10日以内 |
10 | 47.6% | 5 | 33.3% |
条件無し(全個数) |
21 | 100.0% | 15 | 100.0% |
この結果を見る限り、終値に対する窓の大きさが0%、1%、2%の場合には、
窓を埋める確率はランダムウォークモデルと比べて近いか、若干小さいという事が見て取れます。
3%の場合には窓の数がシミュレーションに比べて非常に多いですが
(シミュレーションのサンプル数が実際のデータの10倍である事に注意)、
これはストップ幅による制限が原因であると思われます。この場合についても、
データ数が少ないため確かな事は言えないでしょう。
結論としましては、
東京ゴムに関しては、窓を埋める動きとしてランダムなもの以上のものは見出せない、という事になりました。
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