石油製品の業者間転売価格と定期の価格形成


2002/3/24

ガソリンと灯油の業者間転売価格のデータを入手したので、軽くまとめてみました。

まずは業転価格と定期期近、それにWTI原油の邦貨換算値をグラフにしたものを見て下さい。

石油製品および原油の価格推移グラフ

何となく、定期期近は業転価格と連動しているように見えますが、 その差をグラフにしてみると…。

定期期近から業転価格を引いたもののグラフ

となり、業転価格に対して定期期近は、ガソリンで-7000円〜+4000円、 灯油で-8000円〜+6000円のブレがあることがわかります。
ここ最近1年間のブレが比較的少ないのは、石油製品上場から日が経ち、 徐々に裁定が効くようになってきたためかもしれません。 業転価格に対して定期が下鞘で推移する傾向が強いのも見て取れます。
両者の相関係数は、ガソリンが0.808、灯油が0.766でした。

次に原油価格との比較を行いました。比較対象としてはWTI原油の邦貨換算値を用いています。 我が国が主に輸入している中東産原油に比べると若干プレミアムがついていますが、 中東産原油とWTIの連動性が高いので比較対象としては問題ないと思われます。

業転価格と原油価格の差のグラフ

定期期近と原油価格の差のグラフ

これを見ると、石油製品と原油の鞘、いわゆるクラックスプレッドは4000円〜12000円くらいで 推移しているのがわかります。中東産原油とWTIのスプレッドを考慮すると、 実際のクラックスプレッドは6000円〜14000円程度であると思われます。
相関係数は、業転ガソリン−原油が0.883、業転灯油−原油が0.886、 定期ガソリン−原油が0.749、定期灯油−原油が0.655となりました。
定期より業転の方が海外価格を反映しているという結果になりましたが、 当限といえども最大1ヶ月のベーシスリスクを負う事や、 納会事情に絡む乱高下を考慮すると自然な結果なのかもしれません。
業転ガソリン−原油の相関係数と業転灯油−原油の相関係数がほぼ同じ値を取っているのに対して、 定期ガソリン−原油の相関係数と定期灯油−原油の相関係数に幾分違いがあるのも注目に値します。 この事実からは、業転価格の形成に生産者の意向が大きく作用しているという事が推測されます。

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