ゴムとゴム指数の裁定比率について
2000/5/10
普通、ゴムとゴム指数の鞘取りには指数1枚につきゴム4枚が使われます。
しかし、本当にこれが最適なのでしょうか? 体感的に、
定期が1円動いても指数は1円も動きません。せいぜい0.5円位でしょうか。
そう考えると、指数1枚に対してゴム4枚は多すぎるような気もします。
そこで、いろんな裁定比率で値動きの様子を調べてみる事にしました。
ゴム指数が上場されてからのゴム指数と東京ゴムの1日毎の終値をそれぞれ
i(n) ,g(n) としています。
i(n) ,g(n) から裁定比率によって d(n) という値を作り、1日おき、5日おき、10日おき、20日おき、
40日おき、60日おき、100日おき、200日おきの d(n) の差の標準偏差を表にしたのが下です。
裁定比率 | d(n) = |
d(n+k) - d(n) の標準偏差 |
k=1 | k=5 | k=10 | k=20 |
k=40 | k=60 | k=100 | k=200 |
2枚:0枚 | i(n)-g(n)*0.000 |
1.97 | 4.10 | 5.69 | 8.10 |
11.3 | 14.1 | 18.8 | 26.2 |
2枚:1枚 | i(n)-g(n)*0.125 |
1.81 | 3.58 | 4.93 | 6.99 |
9.76 | 12.2 | 16.3 | 22.7 |
2枚:2枚 | i(n)-g(n)*0.250 |
1.69 | 3.09 | 4.21 | 5.92 |
8.26 | 10.3 | 13.8 | 19.2 |
2枚:3枚 | i(n)-g(n)*0.375 |
1.60 | 2.67 | 3.56 | 4.91 |
6.82 | 8.56 | 11.4 | 15.8 |
2枚:4枚 | i(n)-g(n)*0.500 |
1.55 | 2.34 | 3.01 | 4.02 |
5.51 | 6.89 | 9.16 | 12.6 |
2枚:5枚 | i(n)-g(n)*0.625 |
1.56 | 2.15 | 2.62 | 3.35 |
4.43 | 5.44 | 7.17 | 9.78 |
2枚:6枚 | i(n)-g(n)*0.750 |
1.62 | 2.14 | 2.49 | 3.04 |
3.79 | 4.43 | 5.75 | 7.71 |
2枚:7枚 | i(n)-g(n)*0.875 |
1.72 | 2.31 | 2.65 | 3.19 |
3.81 | 4.19 | 5.35 | 7.11 |
2枚:8枚 | i(n)-g(n)*1.000 |
1.85 | 2.62 | 3.05 | 3.75 |
4.48 | 4.83 | 6.17 | 8.31 |
2枚:9枚 | i(n)-g(n)*1.125 |
2.02 | 3.03 | 3.62 | 4.58 |
5.58 | 6.09 | 7.85 | 10.7 |
例えば、裁定比率2枚:3枚の k=20 の欄には 4.91 とありますが、
これは、ゴム指数値−東京ゴム×0.375 の値が20日の間に平均して 4.91 ぐらいの
変動をする、という事を表します。(正確には平均と標準偏差は異なるのですが、
ここでは同じようなものと考えて下さい)
この表を見ると、一日毎の値動きをヘッジするにはゴム指数2枚と東京ゴム4枚の
組み合わせが一番良く、定期が1円につき指数0.5円という経験則はあながち
間違いではないものと思われます。
しかし、裁定とは結局、長期的な値動きをヘッジしつつ短期の変動を取る事ですから、
一日毎の値動きをヘッジしてもあまり意味がありません。また、ゴムの場合、
発会から納会まで半年ですから、
一年以上の平均的な動きについても同様にあまり考慮にいれる必要は感じません。
そのように考えた上で表を眺めると、
60日以上のスパンの値動きを一番キチンとヘッジする事のできる、
裁定比率 2枚:7枚 の組み合わせが最適であるとの結論を得ます。
さらにいうならば、1枚:4枚 よりは 1枚:3枚 の方がどちらかというと良いといえます。
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