知られざる名曲 その1 2007/03/05(月) 23:40:51 |
| 最近ここに書くネタもなくなってきたので、音楽のネタが出たついでに、折に触れ知られざるクラシックの名曲のことでも語ろうかと思う。第1回目は アレクサンドル・ゲチケ(ロシア 1877〜1957)『トランペット協奏曲』である。 トランペット協奏曲自体がそもそも珍しいし、あるとしてもバロックの頃の量産音楽か、現代の前衛じみたいささかとっつきにくいものがあるばかりで、ロマン派の曲調で聞きやすいものは少ない。その中でもこの曲は大変聞きやすく、親しめるものである。全1楽章で適度に短い。こんなトランペットのレパートリーがあっておよいだろう。私の手元にあるのはフィンランディアレーベルの、ジョウコ=ハリャンネのトランペットとペッカ・サヴィヨキ指揮クオピオ交響楽団の演奏である。(なおこれから紹介する曲はいずれも無名曲ばかりであるから、演奏家もしらない人たちばかりである) |
裸の王様 2007/03/03(土) 00:54:05 |
| 皆さんご承知の、『裸の王様』という童話がある。ドイツ語の原題は『皇帝の新しい衣装』というが、ペンローズの著書『皇帝の新しい心』は、無論それを踏まえたものである。誰だったか、これにぴったしの話が現代にあるという。それは
現 代 音 楽
である。 そういえばジョン・ケージに『4分33秒』という、その時間一切音を鳴らさないという「作品」があって、これがまじめな芸術表現だと思われた時代があった。しかし結局今に至るまで、新ウィーン楽派以降の無調音楽はついにポピュラリティをえられない。私も正直、こういう音楽にはついていけない。でもつい10年位前までは「バカなものにはわからない」高級な芸術だと思われていたのだ。最近はさすがにそうでもないが。 それにしても日本の誇る最高の世界的芸術家である「はず」の武満徹の音楽を、果たして日本人はどれほど親しんで聴いているだろうか?率直に言って、同じ20世紀の名曲なら、カバレフスキーの『道化師のギャロップ』のほうが、題名は知らなくでも多くの人は聞いたことがあるに違いない。運動会の定番だし。 |
水車の歴史 2007/03/01(木) 20:40:39 |
| T.Sレイノルズ『水車の歴史』を読む。西欧社会における水車の利用の歴史を書いた本である。本書を読むと、ヨーロッパが世界に先駆けて近代化を成し遂げた理由は、人種的優秀さや「プロテスタントの精神」などよりも、むしろ際立った水力利用に主原因があったと考えられる。事実、前近代社会にあって、ほとんどヨーロッパだけが、水車を極限まで利用し、工業動力として使用するに至った社会なのである。(英語のミルは、水車から転じて工場の意味になった)唯一の例外は江戸時代の日本で、幕末には、人口当たりにするとルネサンス以前のヨーロッパに近いところまで水車が普及し、一部に工業動力として用いられた。日本が非欧州社会でもっともスムーズに近代化を果たしたのは偶然ではない。 またこの本を読むと、水力利用がほとんど普及しない、人力や家畜力に頼った社会は、見かけ上どれほどすばらしい大都市を築き上げ、優れた工芸を残したとしても、本質的には古代社会であり、一足飛びに近代化するものではなかったこともよくわかる。例として、古代ローマや、中世の宋帝国が挙げられよう。どちらも部分的には水力利用は行われたが、人口比でみると、中世ヨーロッパとはくらぶべくもない。近代社会が、水力で動く工場を必要としたという史実を見れば、これらの社会がそのまま近代化に向かうことなく衰退していったのは、別段驚くべきことでもなんでもないのである。
2月の損益 商品47,110円 為替-72,267円(sw3,093円) |
ルーブル登場 2007/02/28(水) 23:10:29 |
| 私の取引しているFX会社では、このほどロシアルーブルの取引が可能となった。一口にBRICSというけれど、今までは中国元がごく一部で取引できるほかは、いずれの会社でも扱っていなかったのである。ルーブルといえば、古き昔は「ソフトカレンシー」の代表格で、公式レートのほか、旅行者レート、貿易レート、闇レートと各種さまざまの交換レートがあったのであるから、その頃から比べれば、出世したというべきであろう。そういえばかつての共産圏では、外貨兌換券などもあって、表面上は元だのルーブルだのの額面になっているが、実際にはその何倍もの闇レートで取引されていたものである。今はこういう種類のお金もすっかり見かけなくなったが。 |
神話の合理的解釈 2007/02/28(水) 00:05:58 |
| なにやら安本さんは、「問題点」の書き込みが科学的にも統計学的にも疑問があるといいたいようである。しかし正直言って、科学的にも統計学的にも奇妙なのでは安本説ではなかろうか。王朝の歴代が正しくなければ、数理統計学など使用不能であるし、まして「天照大神の活躍年代」が230〜250年などと推計でき、それが蓋然性の高い説であるとは、統計学では絶対にいえないはずである。安本は自分の方法で、そのわずか20年の幅に「活躍年代」が入る蓋然性を計算してみるべきであろう。そもそもこういう書き方をするところを見ると、安本は統計学の結果を誠実に利用する気もないし、表現するつもりもないのだろう。かれは「数理統計学」に基づく「科学的方法」とかいうのを、読者をミスリードするためのからくりに使っているとしかいいようがない。いわば「文章心理学」の応用である。 安本の説を、そのからくりの部分をとりのぞくと、いわゆる「神話の合理的解釈」ということに尽きる。安本は日本神話の「大筋」を事実の反映とみる自己の立場を弁護するために、トロイヤ戦争の例を上げるけれども、これもいかにもご都合主義的ではなかろうか。なぜならトロイヤ戦争の例を理由に、ギリシャ神話のほとんど全てが歴史的事実の反映などといっている人は、少なくともまともな学者では聞いたことがないからである。それに、すくなくともトロイヤの伝説の場合は、ギリシャ世界に昔あった戦争を、実際にそのとおりギリシャ世界のの戦争として伝えているのである。ところが安本流日本神話の解釈によると、邪馬台国と狗奴国の九州における戦争が、天上界における姉弟のきょうだい喧嘩に転化したというのであるから恐れ入る。トロイヤの場合とは比較にならない度外れた「神話化」である。こんなことが高い蓋然性でじっさいありうるのか?こんな解釈を認めれば、もはや「なんでもあり」ではなかろうか。 ことほどさように「神話の合理的解釈」は、昔から有名な「禁じ手」のひとつとなっている。相手が「神話」であるだけに、どんな不合理な点を指摘されても、適当な解釈をでっち上げれば、批判をかわせてしまうからである。ポパーの言う反証可能性がないのだ。しかしよく注意すれば、神話がほんとうに歴史的事実の反映であるという証拠は、何一つ提出されていないのである。安本は高天原を北九州の邪馬台国とし、おおむね3世紀の出来事と考えているが、お望みなら、もっと古い時代や新しい時代の、ヤマトや淡路島や朝鮮の出来事と考えることもできるだろう。なぜなら、戦争が兄弟げんかに変わってしまうほどの神話化を受けているのであるから、他の説話部分もどのような変化があるか、わかったものではないからだ。 |
降臨 2007/02/26(月) 20:10:31 |
| 最近はあまり見かけなくなったが、ネットが始まって間もない2000年ごろの2ちゃんねるでは、しばしば明らに有名人その人と思われる書き込みがあった。自分が知っている例では、「経済板」で浅田彰が延々中傷されるという事件があった。国家公務員(当時)・京都大学経済研究所助教授たる浅田が、経済学の研究はもちろん、授業さえろくすっぽおこなわずにただメシを食っているという非難であった。もちろん浅田を弁護する書き込みもあったけれど、そのなかに、妙に文章が整って書きなれており、一般知能の高そうな人の書き込みがあった。やがてその書き込みは、「あなたはどうやら私の周辺にいる人のようですね」「そんなに悔しかったら、あなたも本を書いて有名になったらどうですか?」などという内容になった。非難する相手方は、当の浅田だとは夢にも思わず、浅田を装うふざけたファンだろうと決め付けていたが、私には、おそらくこれは浅田本人の書き込みだろうと思えた。概してひとかどの有名人とか、大学教授とか言われている人の文章は、ネットに書き込むときも、一般の人の書くそれよりも、句読点の打ち方ひとつとってみてもかなり整っている。口汚いののしり言葉も少ないものだ。 ただしこれには例外がある。同じく2チャンネルの「数学板」に、今もあるのか知らないが、「山口人生シリーズ」のスレがある。私は偶然にも遠い昔、『科学基礎論研究』という雑誌で、当時富士通の研究員だった彼の論文を読んだことがあり、名前が特徴的だったので記憶していた。へえ、あの人生さんがどうかしたのかなと思ってスレを読んでみると、彼はP=NPを証明したと主張しているのだという。(なおこれは数学基礎論・計算論における有名な未解決問題である)しかしその証明内容はどうみてもトンデモの域に入っているらしい。しかもスレのところどころに本人らしき人物が降臨して、批判しからかっている連中を、猿!猿!と連呼しているのであった。(ちなみにスレのタイトルは「P=NP証明猿」であった。「猿にもわかるP=NPの証明」なんてのもあった)私はしかしスレを一読して、東京大学を卒業しイリノイ大学で竹内外史先生のもとでPhDを取得した人生さんは、失礼ながら××になられたのだろうと思った。そうであるなら、いわば××××の状態にある人生さんが有名人に似合わず罵倒に走られるのも、またやむをえないことのように思われる。 |
wikipediaの修正 2007/02/25(日) 23:44:34 |
| wikipediaの安本美典という著名なアマチュア歴史研究家の項目に、「問題点」を書き込んだら、どうやら本人から反論の書き込みが来てしまった。(笑)しかし問題点を書き込むことで、通常の歴史学の考え方や、なぜ安本の考え方が学界に影響を与えないかの理由がわかるので、記入する意義はあるだろう。安本の反論も、最後は哲学論争を持ち込む始末で、有効な反論とはみなしえないものである。 |
先物掲示板の盛衰 2007/02/23(金) 21:07:11 |
| 自分の記憶する限りの先物掲示板の盛衰を書いてみる。 99年5月〜00年3月「ひまじんの先物掲示板」 00年3月〜00年8月ごろ「PAEKさん掲示板」 00年8月ごろ〜不明「青天丼」 00年8月ごろ〜2002年ごろ?「商はな」 以後、2ちゃんねるに「先物」ができて、他を圧倒してしまった。 paekさんと商はなは、突如閉鎖されたし、「ひまじん」さんのところも先日ついに閉鎖した。青天丼は荒れ放題である。 チャットでも事情は同じで、古いログが残っているフューチャーズパイレーツのチャットを覗いてみたら、半年以上も何の書き込みもなかったようだ。 あの「ムトウ」さんはどこにいったんだろう? 秋山さんのところだけは、コテハンの新陳代謝が行われている。不思議なことである。 |
「国会質問に圧力、逮捕」 2007/02/22(木) 21:45:39 |
| 今日の朝日の夕刊の記事である。1年ほど前、毎日新聞が、外資系ファンド「サーベラスグループ」が絡んだ南青山の土地取引で、山口組系の企業に資金が流れたと報じ、怒ったサーベラスが毎日に1億ドルの損害賠償を求めてニューヨーク連邦地裁に提訴するという騒ぎがあった。1億ドルという巨額は会社の経営を傾かせかねないほどで、これは一種の××かと思ったが、案の定他の新聞は問題の取引について詳しく報じなかった。それどころか、これについて国会質問があった事実も、『財界展望』2月号で記事を読む前は私は知らなかった。報道したとしても、よほど小さく報じたのであろう。つまり大手マスコミは、サーベラスの訴訟戦術にすっかりちびってしまったのだ。 その『財界展望』の記事では、問題の国会質問をした国民新党の糸川正晃代議士に銃弾入り脅迫状が届いたことを伝え、糸川氏はのんきそうだが「一等地地上げの裏側がどんなにすごいのか、垣間見たことだろう」と、面白おかしく結んでいる。 今日の朝日の記事は、糸川氏が国会質問をした直後から、ブローカーと元草津市長に、暴力団の列席する喫茶店に呼びつけられ、「僕らが納得しても東京の仲間は金をいっぱい入れているから許さないと思うよ。これはうちと組が絡んでいることだから、肝に応じてほしい」といわれたそうである。さぞかしちびったであろう。サーベラスが急遽毎日との和解に応じたのもうなずけるのである(笑) |
マーフィーの法則。 2007/02/21(水) 23:24:34 |
| 久々に、うちにあるマーフィーの法則を読んでみた。「失敗する可能性のあるものは、失敗する」に始まるシニカルな警句は、ビアスの『悪魔の辞書』に匹敵するユーモアを感じさせる。「危機に臨んで泰然としている人は、たぶん事態の深刻さがわかっていない」「いい事考えたという人は、悪いことを考えている」 立て続けに呼んでいると、思わずニヤリとさせられる。「建て玉を建てると、曲がりだす」のは、誰もが経験する不滅の法則である。 |
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