おきて 2012/10/23(火) 08:30:59 |
| 野良犬の刺身を食らうような無頼漢と思いきや 釈迦の手のひらの温もりを知る生来の旅人という印象を持つ カナリヤの囀りは誰をも黄色い世界へいざなうが 釘でダシをとった味噌汁を片手に彼は耳栓を探す 桑畑で腰をかがめた少女に彼はこう問いかけるだろう 「ちょっとした直線はないですか」 闇には闇の掟があることは俺も少女も知りはしない 彼の脇に抱えられたラジコンのみがそれを知る |
こんじき 2012/10/19(金) 11:47:24 |
| 猿好みのトウモロコシの歯と 腐りかけた青空を表札に掲げてるが オレンジ色の玄関を引けば 双子のシロサイが 近姦近姦と楽しげに踊っているのだ 彼の心の中に住む老婆は ステーキとエスプレを用意して いつでも彼を待っている 傍らには皺ひとつない革靴の紳士が直立し 黒々と燃えるステッキでこめかみを支えている 頭上に群がる蝶の群れを煙で散らかし 無色の夢を蹴りながら昨日と同じ鍵をまわす彼を 脂肪で飽和した邪鬼どもが囃し立てる ならず者でよかろう ならず者でよかろうと 紳士がステッキを捨て 金色の刀を抜いたのはそのときだった |
|